毎日仕事が忙しく、「気付いたら40を越えてしまった…」という独身男性が増えています。「そろそろ結婚しないとまずいかな…」と思ったものの、周りに対象者もいない。今まで黙っていた親もさすがに心配するようになった。そこでやっと婚活を始めることにした方もいるのではないでしょうか。
しかし40代を越えてしまうと、思い通りの結婚が難しい場合も。それは“女性のニーズ”を理解せず、結婚への理想を抱く男性が多いからです。また独身が長いと、最初から“自分に合う女性”をわかっている人は少ないものです。「婚活しながら気づいた」という方が多いかもしれません。
そこで今回は、5,000件以上の結婚相談に乗って来たしあわせ研究家の筆者が、婚活で結婚に成功した“ある40代の男性”の実例をご紹介します。これは、多くの中年男性の参考になると思いますので、気になる人はぜひご一読になって下さいね。
40過ぎて婚活を始めた、仕事人間のS男さん
S男さんは、大学時代の彼女と別れて以来、仕事一筋で女性とお付き合いすることはありませんでした。実際、仕事が多忙で出張も多く、女性と交際しているような余裕がなかったのです。しかし、30代後半に入ると流石に親も心配し始めます。でも、恋愛する自信が起こらないまま数年が経ち、Sさんがやっと重い腰を上げ、婚活を始めたのは43歳の時でした。
故郷で結婚したS男さんの姉には、すでに2人の子供がいました。それ故母親は、「アナタは孫の顔をいつ見せてくれるの?」と帰省のたびに言ってくる。それもあってS男さんは「結婚するなら子供を作らねば」とかたくなに思っていました。
ある結婚相手紹介サービスに入会する際、S男さんはこんな希望を伝えます。「子供が欲しいので、出来れば20代の女性がいいです…」そう言い出した根拠は、母親や姉の出産が20代だったからのようです。すると担当者は「女性側の希望は、年上であっても5歳程度なんですよ」と。S男さんは軽くショックを受けましたが、「30代前半の方でもいいので、もし会ってくれる女性がいるならお願いします」と伝えました。
希望する年齢の女性とは“話が合わない”
仕事一筋だったS男さんは、年収がそれなりにあったためか、運よく31歳と33歳の2人の女性が合ってくれることになりました。しかし、31歳の女性からはお見合い後すぐに断られてしまいます。理由は「いい方と思いましたが、男性としてはちょっと…」と言うものでした。「折角ステキな女性だったのに…わたしが気の利いた言葉を言えなかったからでしょう。服装もオヤジ臭かったのかもしれません」とS男さんは反省。
そこで、洋服を新調し髪型も若々しく整え、今度は33歳の女性とのお見合いに臨みました。努力のかいあってデートにこぎつけたものの、「ゼネレーションギャップと言うのでしょうか…若い子に関心のある流行りの店とか、自分にはさっぱりわからない。それで、だんだん何を話していいかわからなくなって。食事中、沈黙が続いてしまったんです」とS男さん。案の定、その女性からも断られてしまうことに。
初めて楽しく過ごせた、38歳の女性
ある日S男さんは、担当者から「A子さんは38歳なのですが、S男さんと趣味も近いですし、会ってみる価値があると思いますよ」と勧められました。S男さんの趣味は山歩きやトレッキング。学生時代はスキー部だったのですが、社会に出てからは、山歩きを一人でするのが唯一の楽しみだったのです。「最近は、40ぐらいまでお子さんが大丈夫な女性が多いんですよ」と担当者からも後押しされ、「今度は話が通じるかもしれない」という期待もあって、A子さんと会ってみることにしました。
会ってみると、A子さんとは初めから不思議と気持ちが通じ合うものがありました。A子さんも彼氏いない歴が長く、趣味は山歩き。休日はたまに社会人サークルに参加していて、慣れた場所には一人で行くこともある、という女性でした。山が好きな理由や、好きなアーティストも共通していて話が盛り上がり、時間を忘れるほど楽しい一時を過ごすことが出来たのです。
“大切なこと”に気づかされたデート
無事デートにもこぎつけ、S男さんはA子さんに魅かれて行きました。そこで2回目のデートの時、S男さんはA子さんに思い切って聞いてみることに。「僕は結婚したら出来れば子供が欲しいんですが、A子さんは、子供についてはどう考えていますか?」すると、急にA子さんの顔が曇ったため、S男さんは慌てました。「すみません、まずいこと聞いちゃったかな。僕の親が期待してるもんですから…」
A子さんはしばらく考えてから、うっすら涙を浮かべこう言いました。「わたしも子供は好きなんですけど、実は、婦人系が弱いんです。40過ぎて出産する人もいますけど、わたしにはあまり自信がありません…」その時、S男さんは思わずこう言ったのです。「そんなことより、僕はアナタと二人で山を歩きたいんだ。どうか気にしないで」それは、心の底から湧き上がった本心でした。
「自分らしい結婚をしよう」と決意
S男さんは思い切ってA子さんを山歩きに誘いました。山が好き同士、感動を共感し合ってのトレッキングは格別そのものでした。その日、A子さんはランチに手作りのお弁当を持参。中には、S男さんが“大好物”と話していた“だし巻き卵”や、きんぴらも入っていました。「料理も上手いんだ…こんな女性と結婚したら幸せだろうな」と、感激したS男さん。
そして、「彼女となら、二人で山歩きをしながら楽しく生きて行けるだろう…それも自分らしい生き方かもしれない」と思えるようになったのです。「みんなと同じであることが大事なワケではない。それより、自分と本当に合う女性と幸せになろう」そうS男さんはココロを決めることにしました。
それから数か月後、S男さんはA子さんにプロポーズをしました。「子供がいてもいなくても、僕はアナタを一生幸せにします、と伝えまして…」とS男さん。そして半年後、二人は晴れて入籍したのです。
今、S男さんは夫婦二人で幸せな毎日を過ごしています。休日は共通の趣味を楽しみ、夫婦で叶えたい夢も出来て、人生ががらりと明るくなったそうです。そしてこうも言っていました。
「自分には、価値観が合う女性が必要だったんです。彼女と出逢えてよかったし、失わずにいれて本当によかった。でも、最初からは“大事なこ”とが見えていませんでした。自分もそうだったように、恋愛経験が少ないと男はどうしても“考え方”が狭くなっていると思うんです。今、婚活中の男性には、年齢にこだわらず是非色々な女性と会ってみて欲しいと思います。」
男性が結婚で幸せになるには、柔軟性と広い視野が必要、と言ったところでしょうか。S男さんの経験には、多くの中年男性が幸せになるためのヒントが詰まっているのかもしれません。
【筆者略歴】
珠艶(じゅえん)1963年生まれ。しあわせ研究家/コラムニスト/ヒーラー/美容整体師。ヒーリング・美容整体・ライフコンサルを通じ、多くのクライアントを結婚・適職など“しあわせな人生”に導いているサロン「レボルシオン」のカリスマセラピスト。特に結婚相談は、過去5,000人以上の実績がある。【著書】「女整体師が教える快感のスイッチ」メディアファクトリー他。