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家業を継がないのは親不孝?データで見る親御様の気持ちとは

「家業を継がないのは親不孝なのだろうか」
「継ぎたくないけれど、両親の気持ちも気になる」

両親が年を重ねてくると、このように家業を継ぐべきなのか考え始める方は増えてくるでしょう。
大切なのは自分の人生ですが、親御様から「親不孝だ」と思われてしまえば親子関係にヒビが入ってしまう恐れがあります。

そこで本記事では、家業を継ぐかどうか迷っている方に向けて「継がないのは親不孝かどうか」や継がないメリット・デメリットを解説します。

家業を継がないのは親不孝?

「家業を継がないと親不孝ではないか」と考える方は多くいますが、最も大切なのは自分の人生です。
無理して継ぐことはないため、「継がない」という結論を出しても負い目を感じる必要はありません。

エヌエヌ生命保険株式会社の調査によると、親御様の会社を「継ぐ予定」と回答したのはわずか24%です。
さらに、60.7%の方が「継がない予定」と考えています。

※出典:エヌエヌ生命保険株式会社|中小企業経営者の息子・娘を対象にした事業承継に関する調査

このように、統計上は家業を継がない人のほうが多いのです。
したがって、継がない選択肢を選ぶのは珍しいことではありません。

データで見ると家業を継がないのは親不孝

一方で、親御様を対象としたエキテン×Batonzの共同調査では、「後継者候補は誰ですか」という質問に対して「子ども」と答えたのが6割以上でした。
これは2位の「親族以外の従業員」に3倍以上の差を付ける圧倒的な1位です。

このように、世間一般では多くの親御様がご子息・ご息女に「家業を継いでほしい」と考えているわけです。
親御様の立場からすると、家業を継がないのは「親不孝だ」といえるでしょう。

家業を継がないことのメリット・デメリット

「親不孝なのかもしれない」と考えるなら、家業を継がないことのメリット・デメリットを把握し、冷静に「どうするべきか」を検討するのがおすすめです。
家業を継がないことのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
自分の好きな仕事ができる「継ぐ」というプレッシャーから解放される家業を適任者に引き継げる可能性がある家業が廃業してしまう恐れがある両親を悲しませてしまうことになりかねない起業する際、ゼロから準備しなければならない

それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

家業を継がないことのメリット

家業を継がないのには、主に以下のメリットがあります。

  • 自分の好きな仕事ができる
  • 「継ぐ」というプレッシャーから解放される
  • 家業を適任者に引き継げる可能性がある

自分の好きな仕事ができる

家業を継がなければ自分の好きなように時間を使えるため、自由に仕事を選べます。

興味がある分野の勉強をはじめることもできますし、家業とは別に事業を立ち上げることもできるでしょう。
家業を継ぐより経済的・精神的に裕福になれる可能性もあります。

「継ぐ」というプレッシャーから解放される

「親の代わりに継げる自信がない」
「自分の代で会社を潰してしまうかもしれないと考えると不安」

このように継ぐか継がないかで悩んでいる時期は、強いプレッシャーを感じてしまいます。
家業を継がないと決断し、親御様も納得している状態であれば、「継ぐ」というプレッシャーから解放されて気持ちが楽になるでしょう。

家業を適任者に引き継げる可能性がある

自分が継ぐことによって、家業の経営に悪影響を及ぼす恐れがあります。
しかし、適任者に引き継げば、反対に家業を成長させることもできるでしょう。

株式会社帝国データバンクの調査によると、近年、同族承継よりも内部昇格やM&Aによる承継が増えています。

出典:PR TIMES|後継者不在率、初の60%割れ 後継候補「非同族」が初のトップ、事業承継は「脱ファミリー」化が加速

第三者が会社を継ぐことで、事業が大きく発展したケースもあります。
経営に自信がない場合、無理に継ぐことを考えないほうが良いでしょう。

家業を継がないことのデメリット

一方で、家業を継がないことには以下のデメリットがあります。

  • 家業が廃業してしまう恐れがある
  • 両親を悲しませてしまうことになりかねない
  • 起業する際、ゼロから準備しなければならない

家業が廃業してしまう恐れがある

実家を継がなければ、親御様が守ってきた家業が廃業してしまう恐れがあります。
上述したとおり、6割以上の親御様は「子どもに継いでほしい」と考えているため「継いでくれないなら会社をたたむ」と判断することも少なくないからです。

実際に、日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、60代の経営者のうち57.2%もの方が「後継者がいない場合は廃業予定」と回答しています。

出典:日本政策金融公庫総合研究所|中小企業経営者の2人に1人が自分の代で廃業を予定

何年、何十年と続いてきた会社の歴史が途絶えるのは、家族の歴史においても日本社会においても非常に大きな損失です。
このような事態に胸が痛む場合、家業を継ぐという選択肢を検討しても良いでしょう。

両親を悲しませてしまうことになりかねない

家業を継がないと決心した場合、両親を悲しませてしまうことになりかねません。
今まで説明してきたとおり、多くの親御様はご子息・ご息女に「継いでほしい」と考えています。

親御様はご子息・ご息女が生まれたときから「ゆくゆくはこの子に」と考えているケースが多いです。
もちろん大事なのは自分の人生ですが、このような期待を背負っている、という点を覚えておきましょう。

起業する際、ゼロから準備しなければならない

起業を考えている場合、家業を引き継いだほうが「失敗しにくい」といえます。
ゼロから準備するのは非常にリスクが高いからです。

中小企業白書の調査によると、起業1年後の廃業率※は以下のとおりです。

  • 個人:37.7%
  • 法人:20.4%

※2005年度時点

参考:国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)|中小企業白書の調|第2節 事業の存続・倒産と再生

起業してから会社を存続させることが、いかに厳しいかがわかります。
「好きなことで起業したい」というより「経営者としてデビューしたい」場合は、自分で立ち上げるよりも家業を引き継いだほうがリスクを抑えられます。

実家を継いだほうが良い人・継がないほうが良い人

跡継ぎに迷っている場合、自分に経営者の素質があるかどうかを冷静に分析するのが大切です。

ここでは、実家を継いだ方が良い人・継がないほうが良い人の特徴を紹介します。

実家を継いだほうが良い人

実家を継いだほうが良い人は以下のとおりです。

  • 経営者になる覚悟がある人
  • 決断力がある人
  • リーダーシップがある人
  • 経営力がある人
  • 実務能力がある人

経営を引き継ぐ覚悟がなければ、経営者は務まりません。
事業そのものだけでなく、従業員や取引先に対しての責任を最終的に負うのは社長だからです。

また、最終的な決裁権限は経営者にあるため、決断力も必要になります。
リーダーシップにおいては、手段を考える力や統率力が求められるでしょう。

経営力や実務能力に関しては、実務の面で見極めていくことが大切です。
まず家業に関わってみてから判断するのも悪くありません。

実家を継がないほうが良い人

実家を継がないほうが良い人は以下のとおりです。

  • 他責がクセになっている人
  • 感謝の気持ちを伝えられない人
  • 自分の主張を無理に押し通そうとする人
  • 主体的に動くことが苦手な人
  • 優柔不断な人

他責がクセになっている人は、責任を負う立場になる経営者には向いていません。
最終的にすべての責任を負うのは経営者だからです。

また、会社の業績を自分だけの手柄にするような人は実家を継がないほうが良いでしょう。
企業は関係者一人ひとりの努力や成果によって成り立っています。
このような人たちに感謝ができない場合、経営者としての成功は難しいといえます。

さらに、経営者は会社員と違い、能動的に動いて仕事を生み出さなければなりません。
主体的に動くことが苦手な人や優柔不断な人も経営者には向いていないでしょう。

家業を継ぎながら自分のやりたいことを実現するには

「家業を継ぐと自分の好きなことができなくなる」
このように考えている方は少なくありません。

しかし、家業を継ぎながら自分のやりたいことを実現している方はたくさんいます。
ここではその方法を2つ紹介します。

家業の新規事業としてはじめる

家業を継いで、自分のやりたいことを新規事業としてはじめる方法があります。
相乗効果が期待できるのであれば、親御様や関係者からの納得も得られやすいでしょう。

新規事業を立ち上げるのは、家業にとって新しい風になり、良い影響をもたらす可能性があります。
また、家業を継ぐ条件として「新規事業を立ち上げること」を提案すれば、親御様も比較的簡単に折り合いをつけられます。

家業を効率化しやりたいことをやれる時間を増やす

家業を効率化できれば、自分の時間を増やせます。
例えば、家業を継いでから結婚し、妻(夫)に手伝ってもらう方法があります。
このような状況を作り出すことができれば、やりたいことを実現できるでしょう。

また、投資が必要になりますが、作業の自動化やデジタル化を図る方法もあります。
例を挙げると、経理業務のIT化です。
クラウド会計ソフトを取り入れれば、面倒な領収書の整理や売上の計上などが自動化されるため、自分の時間が増えます。

そのほかにも、自分のやりたいことを増やすための選択肢はいくつかあります。

  • 外部人材による事業承継
  • M&A
  • 結婚承継

家業を効率化させる方法は豊富にあるため、取り組みやすい方法を実践してみましょう。

跡継ぎとなってくれる結婚相手を探すなら結婚承継

本記事では「家業を継がないことは親不孝なのか」という悩みに対する回答として、下記の内容を解説しました。

  • 家業を継がずに、自分の人生を大事にして良い
  • ただ、親御様の気持ちを考えると「家業を継がないのは親不孝」といえるのは事実
  • 実家を継がないことのメリットは、好きな仕事ができるという点
  • 一方で、家業を廃業させてしまう恐れがある
  • すこしでも悩んでいる場合、まずは実際に家業に関わってみてから判断するのもおすすめ

家業を継いでも自分の好きなことは続けられます。
すこしでも「親不孝になるのは気持ちの良いことではない」と感じるなら、家業と自分の好きなことを両立する方法を考えましょう。

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